震災から漁業復興の「岩手県漁民組合」ー提訴を視野に入れた「浜の一揆」は農水大臣に対する審査請求の段階に

震災から漁業復興の「岩手県漁民組合」ー提訴を視野に入れた「浜の一揆」は農水大臣に対する審査請求の段階にはいります。岩手県行政(漁政)も知っていながら、長年にわたりこれを改善しようとはせす。この「悪しき慣習」改善しない姿勢の罪は重い。

これまで、震災後に発足した「岩手県漁民組合」の活動については投稿していますが、ご存知ない方もいるかと思いますので要点のおさらいをしてから本題に入ります。

岩手県漁民組合」とはーーーーーーーーーーーーーーーーー
東日本大震災が発生して、岩手沿岸漁業は壊滅的な被害をうけました。
殆どの漁師が船や倉庫、漁具、機械、車両漁業の全てを無くしてました。負債を抱えて「漁師復活」となったのです。
沿岸漁業は大きく分けて、3種類に分けられます。1,養殖業 2,定置網 3,漁船漁業(自分が船主となってもっぱら天然の魚介類を捕る漁師)
岩手県漁民組合」は3,漁船漁業をなりわいとしてる人です。

ところが、漁業支援策の中で、1,養殖業 2,定置網のは手厚い支援助成、補助がありましたが、3,漁船漁業については、水産庁では「個人財産の形成となる」理由で助成はきすてられた訳です。
そこで、組織として団体交渉しないと力がないということで出来たのが「岩手県漁民組合」です。これまで
、何度か水産庁岩手県など行政府への陳情などを行い、まあフォーラムなどを開催して全国の漁師、農業団体などとも交流して今は岩手発「全日本漁民組合」を拡大しようとしています。

↓↓「2013年の漁業センサス。このなかで、既得権益を持ってるのは、団体経営の会社などで、77の中に含まれています。
僕ら零細漁民は「個人経営」5,204。77のために
5,204が置き去りにされているのです。

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※ 詳細は私のブログー「岩手県漁民組合」のフェルダを見れば分かります。

URL: http://blogs.yahoo.co.jp/sasaootako/folder/1570061.html ーーーー
このような活動してる中で、船は再建したけど不漁の状況です。



そして「宮城、青森ではサケを刺し網で捕ってるのに岩手は何故禁止され罰則まであるのか・? 理不尽極まりない。」という話が出て、「非民主的だ!」と漁民全体から声があがり、これまでの一部の既得権益を持った権力者のボスの腐った岩手沿岸漁業を、「民主的」にしないとだめだという結論になったのです。
わかりやすく言えば、「岩手漁業のボス」が野球で言えば、プッチャー、バッター、審判もやっていたわけで、やりたい放題に岩手の海を支配してきたのです。
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県行政(漁政)も知っていながら、長年にわたりこれを改善しようとはせす。この「悪しき慣習」を放ったらかしにして来た罪は重いモノがあります。
「県漁連会長」=「大型漁業権所有」=「海区調整委員長」これはどう考えても、権力は一人のボスに行ってることで、「非民主的」出ないことは明らかです。
これすらも、長年の慣習としてあり、零細漁民はその中で限られた漁業権の中で漁業をやってきたのです。
一方では、「後継者育成の努力を」「漁民の所得向上を」と漁業振興計画では唱っています。権力者、巻き上げ船、底引き網船、そして大型定置網などを優先した漁政は零細漁民を締め出してるので、矛盾してるのです。
まさに、お役所仕事です。

しかも、この震災で零細居民はかつてない大不漁で困っているのに、それを支援しようとはしないのです。

まあ、これまで、このような既得権益を持ったボスは保守系議員と繋がっています。この議会などの圧力を恐れて長年に渡り黙認して来た訳です。


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そこで、当組合ではまず、「サケを刺し網漁」の漁法を取るのと共に、「ボス退治」しようという事になって、弁護士の「澤藤統一郎先生」に依頼して裁判に訴えても【浜の一揆】を起こす事になったのです。
なので、これまで請願、陳情してきましたが無視されてきました。これでは、いつまで岩手で漁師として生きて行くのは難しい。
今回は、もう初めから提訴を頭に入れたもので進めてきたのです。

 震災後の生業復興。
零細漁民の生活再建にならないと、「サケの刺し網認可」について、何度も水産庁岩手県にこの窮状を訴えてきました。
それは、前出の「理不尽な古からの慣習」で「零細漁民にサケをとってはならない。罰則まである。」という、岩手県水産行政、県漁連にたいしてでもあります。
しかし、行政は聴く耳を持たず。全く無視されて来たのです。
 
このままでは、岩手の漁船漁業者の漁民は、餓死します。現に不漁などを理由に債務を苦にして自殺者まででてるのです。

これまで、何度か投稿して来た【岩手県漁民組合「浜の一揆」】は、請願や陳情ではもうありません。この機会に岩手県漁政の悪政の転換を行う為に、集団行政訴訟を視野に入れた、行動に出たのです。


これまで、我々は何度も会議を持って県漁政に「サケの刺し網認可」の申請をしていますが、岩手県指令水振第278号、平成27年6月12日の文書で、県から「不認可」の回答がでています。

そして、裁判を視野に入れた「浜の一揆」は農水大

臣に対する審査請求の段階にはいります。
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以下、弁護士・澤藤統一郎先生のブログ

「澤藤統一郎の憲法日記」ーー改憲への危機感から毎日書き続けています
2015年7月30日 「浜の一揆」フォルダから転載引用します。

『「浜の一揆」は農水大臣に対する審査請求の段階

に』
http://article9.jp/wordpress/?p=5331
 
三陸沿岸の漁民102人が岩手県知事に対して「固定式刺網によるサケの採捕」の許可を求めた「浜の一揆」。許可申請は、岩手県から不許可の決定に接した。達増拓也岩手知事の震災復興行政の姿勢に多少は期待もあったのだが、沿岸漁業のボス支配を追認する水産行政を確認する結論となった。
但し、不許可の理由はまったくの形式論に終始し、実質的には判断を避けたものとなった。見方によっては、県は判断を避けて国や裁判所に丸投げしたとも解しうる。注目されている知事選を目前にして、県の漁業界のボスたちにも一般漁民にも、悪くは思われたくないという動機がもたらした選択であるのかも知れない。
その忖度はともかく、結局のところ当初想定したとおりの結論となって、予定のとおりに農林水産大臣に対する審査請求を申し立てとなった。
以下は、その審査請求書の抜粋である。
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☆ 各審査請求人は、いずれも岩手県三陸沿岸に居住し、一覧表に特定されている各小型漁船を使用して現に漁業を営む漁民であるところ、
2014年9月30日(1次申請)、同年11月4日(2次申請)、2015年1月30日(3次申請)の3回に分けて、
岩手県知事に対して、当該の漁船を使用して、岩手県沖合海面における固定式刺し網漁業の漁法による「さけ」の採捕の許可を申請した。
但し、当該求める「さけ漁」の許可の内容について、自主的に漁獲量の制限を設け、年間漁獲量の上限を10トンとしての許可を求めた。
☆ 請求人らの上記許可申請に対する岩手県知事による不許可処分がなされた。その理由は以下のとおりとされている。
岩手県漁業調整規則第23条第1項第3号においては、漁業調整又は水産資源の保護培養のため必要があると認める場合には、漁業の許可をしない旨規定している。そして、同号の審査基準の一つとして本県が定めた固定式刺し網漁業の許可等の取扱方針(平成14年12月25日制定)においては、固定式刺し網漁業を新たに営もうとする者に係る許可は、知事が定めた新規許可枠の範囲内においてすることにしているところ、現在は当該許可に新規許可枠を設定していない。そうであるところ、取扱方針における許可をなしうる場合に該当せず、岩手県漁業調整規則第23条第1項第3号に該当するものである。このことから、本申請は不許可とする。
☆ 以上のとおり、不許可の理由は、まったく形式的なものに過ぎない。要するに、「予め不許可を決めているから不許可なのだ」というだけで、不許可の実質的理由を提示していない。
しかも、「取扱方針」なるものは、誰も見たことがない。そのようなものがあると説明を受けたこともない。純然たる内部文書に過ぎず、県民の権利義務に影響を与えるものてはあり得ない。
☆ 不許可決定は、自ら、「漁業調整又は水産資源の保護培養のため必要があると認める場合には、漁業の許可をしない旨規定している」と、申請に対しては許可が原則であることを認めつつ、本件の許可申請が「漁業調整又は水産資源の保護培養のため必要がある」という例外に当たることについての実質的な理由をまったく提示していないのである。
これだけで、取消理由として十分である。
☆ 速やかな原処分取消裁決が得られない場合には、行政事件訴訟法に基づいて、岩手県知事を被告として、盛岡地裁に不許可処分取消訴訟を提起する予定である。
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請求人らは、いずれも2011年3月の震災と津波によって甚大な被害を蒙った三陸沿岸の漁民であるところ、漁業による生計を維持し生業を継続するための切実な要求として、さけ漁の許可を得るために本申請におよんだものである。
岩手県三陸沿岸の漁業においては、秋から冬を盛漁期とする「さけ」を基幹魚種とする。ところが、一般漁民には基幹魚種であるさけを採捕することが禁じられている。信じがたいことだが、一般漁民の不満を押さえつけての非民主的で不合理極まる水産行政がまかり通ってきた。
岩手県沿岸のさけ漁は、もっぱら大規模な定置網漁の事業者に独占されており、零細な一般漁民は刑罰をもってさけ漁を禁止されている。事実上、大規模定置網事業者保護のための水産行政であり、浜の有力者の利益を確保するために刑罰による威嚇が用意されているのである。一方に大規模なさけの定置網漁で巨額の利益を得る者がある反面、零細漁民は漁業での生計を維持しがたく、後継者も確保しがたい深刻な現実がある。
宮城県においても青森県においても、当然のこととして一般漁民が小規模な固定式刺し網によるさけ漁の許可を得て漁業を営んでいる。県境を越えて岩手県に入った途端、突然に「さけ漁禁止」「違反は処罰」となるのである。
本件許可申請は、このような不合理な水産行政に反旗を翻す「浜の一揆」の心意気をもっての権利主張である。
定置網漁業を営む大規模事業者は2種類ある。そのひとつは漁業協同組合であり、他のひとつは漁業界の有力者の単独経営体である。
漁業協同組合における民主的運営は必ずしも徹底されておらず、漁協の利益が組合員の利益に還元されない憾みを遺している現実がある。こと、「さけ漁」に関しては、一部の漁協と漁民の利益は鋭く相反している。
また、漁協以外の定置網事業者は例外なく業界の有力者であって、一般漁民をさけ漁から閉め出すことは、大規模事業者の不当な利益を確保する制度として定着している。行政は、この不合理を是正することなく、むしろ業界の有力者と癒着し庇護する体制を確立して今日に至っている。
請求人らは、いずれも岩手県三陸沿岸において小型漁船を使用して小規模漁業に従事する者であって、予てから岩手県三陸沿岸海域においては一般漁民に「さけ」の採捕が禁止されていることを不合理とし、岩手県の水産行政に不信と不満の念を募らせてきたが、「さけ漁禁止」の不合理は、3・11震災・津波の被害からの復興が遅々として進まない現在、いよいよ耐えがたいものとなって、本件申請に至った。
本来は、岩手県の水産行政や、県政が、漁業の振興と漁村集落の維持発展を図るため大規模定置網事業者のさけ採捕独占を問題としなければならない。具体的には大規模事業者によるさけ漁の上限を画して、小型漁船漁業を営む一般漁民の生計がなり立つような水産行政を積極的に展開しなければならない。県にその姿勢がないばかりに、請求人らは、県行政や県政と闘って、自らの権利を実現することを余儀なくされているのである。
岩手県の水産行政は三陸沿岸漁民全体の利益のためにこそある。大規模定置網漁事業者にさけ漁の利益独占を保障するための行政であってはならない。
本来、海域の水産資源は誰にも独占の権利はない。わけても沿岸海域における漁場の水産資源は沿岸漁民全ての共有財産である。
漁業法の理念からも、漁は合理的な制約には服するものの原則は自由である。制約の合理性の内容は「民主化」「実質的な公平」でなくてはならない。しかし、三陸沿岸の漁民は生活に困窮しながら、目の前の漁場において一尾のさけも獲ってはならないとされているのである。しかも、他方では大規模事業者が行う巻き網漁船や底引き網漁で混穫されたさけは、雑魚扱いされて事実上黙認されているなど、強者に甘く弱者にはこの上なく厳しい事態の不合理は、誰の目にも明らかというべきである。
都道府県の水産行政には、漁業法にもとづいて負託された漁業許可の権限があるものとされている。しかし、漁民の許可申請に対しては、飽くまで許可をなすべきことが原則であって、不許可は格別の事情ある場合の例外に限られる。
請求人らは、3・11震災・津波被災後の生活苦の中で、さけ漁禁止行政の継続は、生業の維持と生活再建を破壊するものとの認識のもと、小規模漁民において可能な固定式刺し網による「さけ」漁の許可を求めるものである。
請求人らは、これまでこの不自然で不合理な岩手県の漁業行政に甘んじてきた。しかし、請求人らの生活苦はその不合理に耐え難い限界に達して、ようやくにして公正な漁業資源の配分を要求するに至ったものである。
速やかな原処分取消の裁決を求める。 
                           (2015年7月30日)